第43回元陽展 出品作品(F100)の制作過程

(画像をクリックすると大きくなります。一部を除く)

いよいよ額装です。
まずあらかじめ作成していた木枠を留めていきます。
クランプで角を慎重に固定し、ミニビスで留めていきます。
昔はミニビスの変わりにパネル釘でしたが、金槌でたたくため、よくづれていました。電動のスクリュードライバーを購入することによって大幅に作業が簡単でかつ正確になりました。
裏からも平座金をあてて固定します。

 次はサインです。
白墨(チョーク)で線を引き、慎重に位置決めをします。白墨ですと書き終わった後簡単に消すことができます。
色は画面の中で多く使ったインジゴでしました。サインは縦書きの「不可止」です。約20年くらい前友人が「印象が強い漢字が良いのでは、ローマ字だったら一文字づつ読まねば分からんから」と言ってもらって以来、漢字サインしています。
 筆も長栄堂さん(広島県熊野町)の小文字用ミンク筆をその時から愛用しています。

(仮題)

いよいよはめることとします。
額と絵にそれぞれ縦横のセンターを取り、それをあわせて固定します。最初はずれたりしていましたが、経験で一発で合いました。
後はフックを取り付けてすべて完成です。

8月12日(日)に自動車で追突事故をもらい、首筋、肩、腰が痛いのでどうも調子があがりません。やはり体調が悪いと思うように進みませんでした。

再び樹皮を描き、厚みをだしました。また桐の葉も描き全体のバランスを考えます。
相当、厚塗りしましたので、ここでしばらくベランダや通路でで乾燥させます。
(2012/5/27)→

 第43回元陽展(H24.10.29〜11.6/東京都美術館)に出品する作品です。
今回は元の東京都美術館で開催できる関係で、従来どおりF100号で描きます。
昨年に引き続き、東日本大震災、取り分け福島原発事故からの早期の再興を願って「被爆アオギリ」を描くこととしました。

今年は早く取り掛かったこと。構想からブレがなかったこと。時間も比較的多く取れたことなどで予定通り完成しました。(クリックすると大きくなります。)
本作品の実物は次のところで見ることができます。
ご高覧いただければ幸いです。
  (2012/10/8記)

そろそろ微調整に入ろうと思います。色調も右奥の被爆アオギリ2世の存在感を高めました。
将来系の枯れたアオギリも厚塗りで存在感が出来てきました。でもバック(グレー系の色部分)も描き足したのですが、写真でみるとまだまだです。

だいぶ良いペースで来たので、ここらで職美展(F20)と尾道四季展の絵に取り掛かります。しばらくおやすみです。

←あまりにもバーントアンバーが濃すぎました。またグレー系で且つインジゴ系で描き足しました。葉っぱも一旦ホワイト系で彩度を落とします。
 少し枝ぶりも気になるので次に修正することとします。
(2012/6/6)

←再度グレー系色(ジェッソ)による全体を塗ったあと、再度デッサンを取ります。
形は出来ましたので、今度は原爆による火災の状況を考え、赤系絵の具で幹を塗りました。マチュエールも紙粘土、モデリングペースト等を利用しています。(2012/5/20)

2012.5.15(火) 描き始め (画像をクリックすると大きくなります)

2012.5.5(土) 下地づくり

 例によって青空アトリエ(近くの公園)でホワイトジェッソ(ホルベインM)を塗ります。
 ベンチには古新聞紙を敷き汚さないようにします。また小さな虫がキャンバスに向って飛んできて付着しますが、つぶさず、一匹づつ取り除きます。 (写真1)←
 約1時間かけて3度塗りし、完全乾燥させ(マンションのエレベーターに色を付けないため)、その後自室に持ち込みました。残ったジェッソやローラー洗い後の液はワンカップに入れ持ち帰り、掃除したティシュや新聞紙等は、自室にて完全分別してゴミに出します。 

 広島市では燃えるゴミの中ににビニールやレジ袋が在った場合、収集車は持ち帰りません。

2012.4.4 写真↑  スケッチ↓

いよいよ審査のため、10月14日(日)に集めて、広島支部として一緒に本部へ送ることとなります。
その前に画面に動きを出すため、8月6日の陽射しをイメージした斜めの線を入れました。
これで完成です。少し描き足らないくらいが丁度いいと思っています。(描けば描くほど説明調になります。)

2012.5.4(金) キャンバスつくり
 以前購入していたF100の木枠を自宅ベランダで組み立てました。
(隣り近所には木槌の音がありました。すみません)

 今度は畳の部屋で木枠とキャンバスの釘打ちです。これも結構神経を使います。なぜなら生地と木枠が直行しないと全体がゆがみます。
 木枠とキャンバス地に中心線を書き、それから木枠とキャンバスをタッカーで取り付け、中心から約8cm間隔で大作用釘を打ちつけます。途中でタッカーの針はニッパーで取り除きます。角は特に気を遣います。
 だってキャンバスのサイドも使うつもりだから、きれいにしておきたい。
(下の階の方、響かなかったですか。)

 *キャンバス張りについては2008年に詳しく記載しています。ご参考に

第43回 元陽展         2012年10月30日(火)〜11月6日(火)  東京都美術館
          広島会場   2012年12月 4日(火)〜12月9日(日)  広島県立美術館
          大阪巡回展  2013年 1月10日(木)〜1月14日(月)  大阪市立美術館

 この「被爆アオギリ」は1945年8月6日に世界最初の原子爆弾が広島に落とされた時、爆心地から1.3km離れた広島逓信局中庭で被爆しました。熱線と爆風で幹の半分が焼けてえぐられたにもかかわらず、翌年には新芽を出し、原爆での怪我や後遺症で苦しんでいた人々に、大きな力と生きる希望を与えました。いまでは幹の火傷を被いかぶさるように樹皮が巻きついています。
 この木の種から芽生えた苗木は平和への想いを託し、全国へ平和の使者として学校や自治体に二世、三世が植えられています。
今回も、広島と同じ放射線の被害を受けた福島の再興を願って描き進めることとします。

 サインを見ればおおよその経験が見て取れます。丁寧に楷書で書きました。

中央部の拡大図です。厚塗りした甲斐がありました。→
(2012.8.30)

7月22日(日)元陽会広島支部研修会がありました。皆からの意見を貰いました。
@100号では空間がありすぎ→空間で時間を表現したかった。
A下の土の部分はいらない→もっとも
B被爆アオギリ二世を描こうか迷っている(本人)→あっても良い

結局、中心のアオギリに二世と将来のアオギリを予想して描くこととしました。

後日、家で4度くらい描きたしました。右の青クサイ二世(現存)と将来のアオギリを想像して(白髪)左にしています。
構図的には落ち着いてきましたが、迫力は少し欠けました。一旦乾かし、再度描き足そうと思っています。(2012.8.2)

途中、レッド、イエローオーカー、グリーン、ブルーなど色々入れてみましたがシックリきません。再度ぬりなおしたのですが。
ぬりなおせば重厚感が出てくるのが油絵の特徴です。
(2012.6.28)→

今度は基本色であるインディゴとローアンバーをオドレスペトロールデしっかり溶き、素早く塗りはじめます。すべりが良いため、一気にここまで描き上げました。(2012/5/18)→

←100号のキャンバスにまずチョークでラフデッサンします。
 木炭や鉛筆と違い簡単に拭き取れますし、油絵の具で塗り始めても黒くにごりません。
(写真でみるとキャンバス左上が波打っています。いまから直します)